柿舞わす

このブログは、ひらう子のブログです。

アナログ絵を見に行く楽しみ

アナログ絵は楽しいです。描くのも楽しいですし、見るのも楽しいです。デジタル絵や、印刷に出すようなイラストでは出せない表現というのがかなりあり、作家の工夫や技巧から、絵描きとして刺激を受けたりします。

デジタル絵は基本的にRGBですので、例えば、画面に凹凸がありません。しかし、人間は二つの目で物を見ますから、絵の表面の立体感には結構敏感なものです。油絵などは、筆跡が表面の凹凸としてはっきり残ったりしますので、ある種、浮き彫りのような迫力が出たりします。作品によっては、凹凸のおかげで印刷されたものとは比べ物にならない奥行きを感じさせてくれます。

アナログ画材は画材の使い方で、表面を部分的にマットな質感にしたり、テカらせたりといったことが出来ます。印刷物でも一応可能なのですが、絵を描くのと同時にテカりを調整するということは難しいでしょう。全く同じ色を使っていても、テカりにより塗りに変化を持たせることは出来るので、特定のものを目立たせたりすることも出来ます。構図や色彩とは別の形で、画面のメリハリを作ることが出来ます。

アナログ画材には、パール調にしたり、メタリックにしたりなどといった、色彩以外の質感表現を出来るものがあります。特に日本画や版画においては、顔料に雲母を混ぜた画材を用いたりして、金属光沢のある画面を作ったりしているものがあります。平面的な表現に、特有の重厚感を持たせたりといった表現が使われます。


ぶらぶらとアナログ絵を見たい時には、美術館などに行けば良いのですが、もっと気軽に色々な技巧を見たい時には、美術学校や美大の作品展などに行くのが面白かったりします。若い人の絵を見に行くという視点でも面白いのですが、学生の展覧会は、表現技法を一覧出来るという点でも面白いです。

また、デパートなどで行われている個展に行くのも面白いです。デパートの個展と言うと、何かとハードルが高いものと感じる人も多いのですが、さほど気にせずうろうろと入って問題ありません。デパートでやっているからといって、高尚で限られた人しか見てはいけないと言うことはなく、作家も、色々な人に見てもらい気に入ったら買ってもらうべく個展をしているのです。場合によっては、どの絵が良かったかなど聞いてくる作家の人もいますし、その場合は気軽に応えれば良いと思います。


デジタルの絵が世にあふれる時代だからこそ、何か刺激が欲しい時に、アナログ絵を見るというのはかなりおすすめです。