柿舞わす

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スーパーマリオブラザーズに感じる、おもちゃ作りの気遣い

スーパーマリオブラザーズといえば、2D横スクロールアクションゲームの草分け的な存在です。ジャンプで敵や障害物を避けながら、不思議なアイテムでパワーアップして進むというスタイルは、後々の多くのゲームに影響を与えました。マリオというキャラクターはアクションだけでなくパズルやレース、パーティーゲームなど色々なジャンルのゲームに出演しているものの、「マリオみたいなゲーム」と聞いたら、ほとんどの人はスーパーマリオブラザーズを思い浮かべると思います。

フリーゲームや同人ゲームでは、スーパーマリオブラザーズのパロディゲームも多く作られています。システムはほぼマリオブラザーズを踏襲し、キャラクターだけ流行のアニメキャラになっていたりするゲームがいくつもあります。ゲーム製作者が既存のアクションゲームのクローンを作ってみようと思ったとき、マリオブラザーズは直感的で面白いので、課題として取り組みやすいのでしょう。

さて、何かとパロディの多く作られるマリオブラザーズですが、多くのパロディゲームでは取り入れられていない、本家マリオブラザーズの特徴がある事に気がつきました。それは、はてなブロックの表示についてです。多くのパロディゲームでは、はてなブロック(もしくはそれに相当するもの)は「?」マークの書かれた黄色い四角の動かないブロックとして表示されています。しかし、実は本家のマリオブラザーズでは、はてなブロックはピカピカと点滅しているのです。

恐らくピカピカと点滅している事で、「このブロックを叩いてごらん」と、プレイヤーに促しているのです。マリオブラザーズのパロディゲームにおいては、既にユーザは「?のついたブロックは叩けば何か出てくる」という知識が当たり前のものとなっています。それが当たり前過ぎてそういった演出が盛り込まれない事が多いのだと思うのですが、勿論、本家マリオブラザーズはそんな前提が無い中で作られたゲームです。ですから、叩けば特殊なことが起こるオブジェクトは、何かしらの方法で目立たせなければいけなかったのです。

考えてみれば、マリオブラザーズでは、触ったり叩いたりして何か特殊効果のあるものはほとんど、何かしら動きがある形で作られています。動きが無いのは土管とレンガブロックとPOWブロックくらいです(動きの演出が無くても、配置やステージ1-2のオープニングデモを見ると、やはり分かりやすく作られていると思います)。マリオブラザーズはゲーム丸ごとでデータサイズが40キロバイトしかない事を考えると、わざわざそのような動きを付けたのは、ユーザへのかなりの気遣いだと感じます。この流れはその後も続いていたようで、マリオ3はてなブロックの表示が「?が横スライドする」という演出にバージョンアップされていたりしますので、創意工夫で改善していくという形で気遣いは続けられていたと考えられます。

私はこの辺りに、任天堂の「おもちゃ会社」らしさを感じます。おもちゃの説明書は、利用者には滅多に読まれません。子供が使うからという意味でもそうですし、大人でもおもちゃで遊ぶときには、説明書を読む必要の無い直感的なものを望むことがほとんどでしょう。「ボタンを押すとロケットパンチが飛ぶ」とか、「ハンドルを回すと音が鳴る」とか、そういう単純で分かりやすい事が、おもちゃには重要なのです。

そういう意味で、マリオブラザーズの光るはてなブロックは、おもちゃらしい分かりやすさをゲームに持ち込んだ結果なのではないでしょうか。現在のスマホゲーム時代においても任天堂が大会社として生き残っているのは、そういったことが要因の一つではないかと、私は考えていたりするのです。